ステーション数・車両数は、2012年も堅調に伸長!
サービスの多様化により、2013年は利用者が“選択する”時代へ!
カーシェアの情報比較サイト「カーシェアリング比較360°」(http://www.carsharing360.com) が、カーシェアリング市場を独自に集計したデータ(主要9社)によると、2012年12月時点のステーション数は2011年12月時点に比べ30.1%増加、ステーション車両台数は38.5%増加していることがわかった。
2011年の大幅伸長(対前年ステーション数:約1.5倍、同車両台数:約1.7倍)に比べると若干伸び率は鈍化したものの、まだまだ順調に拡大がつづいている。
2012年においては、「レオガリバー」(株式会社レオパレス21、株式会社ガリバーインターナショナル運営)、「まちのりくん」(昭和シェル石油運営)、「ガリバーカーシェアメイト」(株式会社ガリバーインターナショナル運営)の3社の事業撤退によるステーション数・車両台数の減少もあったが、ステーション数は合計で5,000箇所、車両台数は7000台を突破し、今後もステーション、及び車両の増強はまだまだ続くものと思われる。
2012年のカーシェアリング市場動向を振り返ってみると、2012年は業界パイオニアの「オリックスカーシェア」がカーシェアリングサービス開始から10周年を迎え、2011年までの急激な市場の成長も一段落し、カーシェアリングが世間からの一定の認知を得るなど、カーシェアリング市場において転換点に差し掛かった年であるといえる。上記と重複する内容もあるが、ここで主要なトピックスに注目しながら2012年を総括してみよう。
2012年主要トピックス
1.ステーション数は約30%、車両台数は約40%伸長!市場は急激成長から安定成長へ!
2012年は、ステーション数と車両台数の伸長率で、2011年ほどの急激な成長は見られなかったものの、ステーション数が前年比30.1%増加、車両台数が前年比38.5%増加と着実に伸長していることが伺えた。伸長率の鈍化に関して言えば、これはマイナス要素でなく、2011年までに、特に主要都市部において一定数以上のステーションと車両が配備され、サービス提供に必要なインフラが整ったことを意味している。つまり2012年になって、日本人の生活にカーシェアリングが確実に根づきはじめ、カーシェアリング市場自体が安定成長期に入ったとみることもできる。
2013年以降、カーシェアリング市場は、利用ニーズの高い地域における新規ステーション開設や既存ステーションの車両台数増加と、利用ニーズの低い地域におけるステーションの改廃を繰り返しながら、さらなる利用者を獲得することで、安定的かつ着実に拡大していくものと推測される。
2.ガリバーらが事業撤退!サービス提供会社が淘汰されるも、サービス品質は向上へ!
2012年は、市場が安定成長へと移行する一方で、カーシェアリング事業から撤退するサービス提供会社が頻発した年でもあった。「カーシェアリング比較360°」の掲載事業者では、「レオガリバー」(株式会社レオパレス21、株式会社ガリバーインターナショナル運営)、「まちのりくん」(昭和シェル石油運営)、「ガリバーカーシェアメイト」(株式会社ガリバーインターナショナル運営)の3社が事業撤退した。カーシェアリング事業ではインフラ整備や管理・維持にコストがかかるため、ある程度の会員数を確保できないと事業採算が取れない。しかし、会員を獲得するためには、ある程度の規模でステーションを展開している必要がある。当初は初期費用や利用料等を高めに設定して、事業展開を試みていた3社であったが、このジレンマから脱することができず、事業撤退に至ったと考えられる。
また、2012年は大手サービス提供各社による料金体系の改定などサービス品質向上への取り組みが顕著に見られた年であったが、これにより新規利用者の多くが大手サービス提供会社へと流れたことも、少なからず3社の事業撤退に影響を与えたものと考えられる。
カーシェアリング市場が安定成長期に入り、初期費用や利用料が安価で、しかも数多くのステーションを展開している優良なサービス提供会社、つまり利用者に対して付加価値の高い有益なサービスを提供できるサービス提供会社だけが勝ち残る状況へと移行したといえるが、入会と利用のハードルが下がったことで、今後ますます新たなカーシェアリング利用者の増加につながっていくのではないだろうか。
3.10周年を迎えたオリックスカーシェアが月額基本料無料プランの提供を開始!入会ハードルが低下!
各社とも一定の基盤整備を終えた2012年は、初期費用や月額基本料の値下げ・割引など費用面のサービスで飛躍的な向上が見られた年でもあった。特に象徴的なのは、カーシェアリングサービスの開始から10周年を迎えた業界のパイオニアである「オリックスカーシェア」の月額基本料無料プラン(Bプラン)だろう。4月から開始されたこのプランは、カーシェアリングの利用を検討している方にとって、実際の利用までのあと一歩を後押しする画期的なプランであった。これにより利用者の増加だけでなく、ライトユーザーを獲得するなど、「オリックスカーシェア」はカーシェアリング利用活性化にも貢献したといえる。
また、その他のサービス提供会社の中にも、初期費用を無料(あるいはICカード発行手数料1,000円のみ)にするなど料金体系を改定し、これまでよりも安価な料金でサービス提供をはじめた事業者がいくつかみられた。この流れは今年に入っても続いており、例えば「カレコ」は、2月より業界最安値クラスの3時間パック(2,000円)のサービスを開始している。
こうした企業努力により、各サービス提供会社のサービスが1時間あたり実質1,000円未満で利用できるようになったため、サービス利用のハードルも低くなり、2013年はさらに利用者が増加すると思われる。また、長時間利用した場合の料金では、各社長時間パックの充実化により、これまでさほど違いがみられなかったレンタカーとも差別化されたため、今後はレンタカーユーザーがカーシェアリングユーザーに転身することもあるのではないだろうか。
4.各サービス提供会社が独自の車種を導入!各社とも新たな利用者層の開拓へ!
2012年、サービスの品質向上は、料金体系以外にも見られた。各社独自の車種の導入である。
例えば「カレコ」は、主要サービス提供会社で初となる「トヨタ86(ハチロク)」を導入。「タイムズプラス」は有楽町イトシア他2ステーションでBMWブランド初のコンセプトEVとなる「Active E」を、「オリックスカーシェア」はカーシェアリングサービス提供会社として国内初となる日産自動車との協業により、30歳前後のヤングファミリー層をターゲットにしたエコスーパーチャージャー搭載の「新型ノート」を導入した。
他にも、「アース・カー」が秋葉原UDX駐車場にステーションをオープンし、「ポルシェ911カレラ」と「ポルシェ ボクスター」を導入するなど、数々の高級車導入で独自路線を展開している。
「タイムズプラス」や「カレコ」は、特定ステーションでの試験的導入にとどまってはいるものの、カーマニアの注目を集めるなどインパクトは大きく、これまでの「カーシェアリング=コンパクトカー」という常識を見事に裏切ることに成功したといえる。
各社とも、「手軽な利用」に新たな付加価値を加えたサービス提供を開始し、これまでとは異なる新たな利用者層の開拓に着手しはじめた。
5.各サービス提供会社が他業界と業務提携!2013年に向けてカーシェアリングの可能性が広がる!
2012年は、カーシェアリグサービス提供会社と他業界との業務提携の話題がメディアに多く露出した年でもあった。
特に業務提携やタイアップに積極的であった「カレコ」は、東京メトロや首都高速道路株式会社、その他マンションディベロッパーなどと提携を行い、利用者の開拓に努めた。
また、名鉄協商が運営する「カリテコ」は、同業種ではあるがJR西日本レンタカー&リース株式会社が運営する「エコ乗りくらぶ」と業務提携を行い、それぞれの会員が相互に利用できるサービスを開始した。
業務提携の話題でとりわけ注目を集めたのは、「オリックスカーシェア」を運営するオリックス自動車と日産自動車のカーシェアリング事業での提携だろう。これまでにもBMWジャパンが「Active E」を「タイムズプラス」に提供するなど、自動車メーカーとの連携は見られたが、国内大手自動車メーカーとカーシェアリングサービス提供会社との業務提携は「オリックスカーシェア」が国内初であった。新車の販売を阻害すると考えられてきたカーシェアリングであったが、今回の提携に対して日産自動車は、国内の販売市場が冷え込む中、新たな購買者層を開拓する販促施策として期待を寄せている。また「オリックスカーシェア」は、サービス向上と他事業者との差別化に有益であるとしている。こうしたメーカーとの業務提携は双方にメリットがあるため、今後も増えていくものと考えられる。
2013年は、各社ともサービスの多様化と差別化を図るために、ますます他業界との業務提携を強化していくものと推測される。今年もカーシェアリング利用者はますます増大していくことが予測されるが、各社のサービス多様化に伴い、カーシェアリングの知識を得た利用者が、自身の経験と知識を元に、「どこが自分に適合したサービス提供会社であるか」をしっかりと見極め、選択する段階に入ってきたと言えるだろう。
【免責事項】
※このデータは、「カーシェアリング比較360°」(株式会社ジェイティップス運営)が独自に収集したデータをもとに構成されています。
※各カーシェアリング提供会社の公式発表データではありませんのでご了承ください。
【当資料の取扱いについて】
メディア・報道関係者の方で、データ素材(Excel形式)をご希望の方は、「お問い合わせ」よりご連絡ください。
当資料の転載、引用は自由に行っていただくことができます。その際にはクレジット表記として
「出典:カーシェアリング比較360°」
の記載と当サイトへのリンク設定をお願いいたします。