ステーション数・車両数の伸長率は前年より鈍化するも、安定成長を持続!
会員数は60万人を突破!?価格競争激化で、カーシェアリングがさらに利用しやすく!
カーシェアの情報比較サイト「カーシェアリング比較360°」(http://www.carsharing360.com)が、、カーシェアリング市場を独自に集計したデータ(主要8社)によると、2014年12月時点のステーション数は2013年12月時点に比べ21.4%増加、ステーション車両台数は28.5%増加していることがわかった。
2013年の対前年伸長率(ステーション数:34.8%増加、ステーション車両台数:43.4%)に比べて、2014年の伸び率は若干鈍化したものの、まだまだ順調に拡大が続いている。また昨年と同様、ステーション数に比べると車両台数の伸長率が大きく、エリア単位での利用者数や利用頻度は引き続き増加しているものと思われる。
2014年は消費税増税による消費者の節約気運の高まりからカーシェアリングに注目が集まったこともあり、カーシェア市場全体の利用者数は前年より約10万人増加の60万人に到達したと思われる。
詳細な実数については、2月の公益財団法人 交通エコロジー・モビリティ財団発表を待ちたい。
ステーション数は、8,000箇所を超え9,000箇所に迫る勢いを見せており、2015年には10,000箇所を突破するものと予測される。またステーション車両台数は2014年で3,000台以上増加しており、2015年には20,000台に近づく見込みである。
各サービス提供会社の状況としては、業界パイオニアの「オリックスカーシェア」がカーシェアリングサービスの開始から12年目に入り、9月にはメルセデス・ベンツ日本、アマノと提携し、横浜市内の8ステーションで「スマート電気自動車」を用いた乗り捨て(ワンウェイ)方式のカーシェアリング「smaco(スマコ)」のサービス提供を開始。車両台数10,000台の大台に乗せた王者「タイムズ カー プラス」は、2014年10月期の決算で、2009年に事業を開始してから5年目で初の営業黒字化を達成するなど、カーシェアリングは新たなステージに突入した。
また、消費税増税のタイミングに合わせて業界第3位の「カレコ・カーシェアリングクラブ」が利用料金の値下げに踏み切ったが、その流れに合わせて各社が次々と割引キャンペーンなどの施策を行うなど、業界は価格競争激化の様相を呈した。利用者を一定数確保し採算面の見通しの立ってきたサービス提供会社が、料金体系をはじめとするサービスの充実化を図ったことで、消費者にとってはカーシェアリングを利用しやすい環境が整ったといえる。
2014年は各サービス提供会社ともステーション整備が一段落つき、会員増に対応するためのステーション拡大にあわせて、1ステーションあたりの設置車両の増強に力を入れた年であった。
上記と重複する内容もあるが、ここで2014年を総括してみよう。
【2014年主要トピックス】
1.ステーション数は21.4%、車両台数は28.5%伸長!昨年より鈍化するも、市場は安定成長を持続!
2014年は、ステーション数と車両台数の増加で、昨年ほどの伸長率は見られなかったものの、ステーション数が前年比21.4%増加、車両台数が前年比28.5%増加とまだまだ順調に拡大は続いており、昨年同様と市場は安定した成長を持続していることが伺えた。
急激なインフラ拡大期を終え、カーシェアリング市場自体が安定成長期に入った2013年以降は、各サービス提供会社とも利用ニーズの高いエリアにおける新規ステーション開設や車両台数増加へとシフトしていったが、2014年もこの傾向は変わらず。2015年も同傾向でステーション数と車両台数は増加していくものと思われる。
さらにいうならば、ステーション数よりも車両台数の伸長が大きくなるものとみている。
2.タイムズ カー プラスの会員数が40万人を突破!業界全体では60万人超え!?
ステーション数・車両台数共に業界トップを走る「タイムズ カー プラス」は、2014年9月に会員数が40万人を超えたことを発表し、2014年12月時点で43万人を突破した。また、2013年12月末に会員数が10万人を突破した業界のパイオニアである「オリックスカーシェア」は、2014年3月末時点で10万5千人を超え、手堅く会員数を伸ばした。業界第3位の「カレコ・カーシェアリングクラブ」も2014年は実質値下げとなる2度の料金改定で会員数を急激に増やしており、業界全体では会員数が60万人を突破したものと思われる。
これにより日本の人口に占める会員数の割合は2014年1月の0.37%から0.47%まで上昇し、カナダ(0.40%、2013年時点)を抜いて、カーシェリング先進国のスイス(1.31%、2012年時点)に次ぐ世界第2位となることが濃厚(※注)。
会員数の増加では、2014年も単年で10万人以上増やした「タイムズ カー プラス」の独走状態となったが、短時間利用で業界最安値料金を打ち出した「カレコ・カーシェアリングクラブ」も健闘し、「オリックスカーシェア」と「カレコ・カーシェアリングクラブ」が首位「タイムズ カー プラス」を追いかけるという上位3強の図式が改めて浮き彫りとなる年であった。
こうした3強体制は2015年も継続すると思われ、3事業者を中心に会員数も増加傾向で推移していくものと予測される。
※参考:交通エコロジー・モビリティ財団「わが国のカーシェアリング車両台数と会員数の推移」
3.国交省通達により、「乗り捨て」が可能に!オリックス、タイムズがワンウェイ運用を開始!
2014年はカーシェアリング業界において「ワンウェイ元年」とでもいうべき、新たな転機となる年であった。これまで道路運送車両法第7条により車両の整備状況の把握や利用の安全確保という管理上の理由から届け出した場所以外での車両の貸し出しは認められていなかったが、昨今のIT技術の発達により車両の整備状況の把握や利用の安全確保が可能であるとみなした国土交通省は、2014年3月27日に通達「いわゆるワンウェイ方式のレンタカー型カーシェアリングの実施に係る取り扱いについて」を発表。9月1日より、カーシェアリングの「乗り捨て」が解禁された。
この通達を受けて、まずは「オリックスカーシェア」が、メルセデス・ベンツ日本、アマノと提携し、横浜市内の8ステーションで「スマート電気自動車」を用いた、乗り捨て(ワンウェイ)方式のカーシェアリング「smaco(スマコ)」のサービスを開始することを発表。9月1日よりサービス提供を開始した。
「タイムズ カー プラス」も関西国際空港と大阪国際空港(旧伊丹空港)の2ステーション間のみで、乗り捨て(ワンウェイ)式カーシェアリングの運用を始めた。
現在、上記2サービスは期間限定での提供予定である。ワンウェイはコスト面や車の片寄りなど課題が多いものの、今後、利用ニーズが高まって行けば、各地域にワンウェイ方式のカーシェアリングが水平展開していくことも十分あり得る。そうなれば、カーシェアリングの利用シーンも大幅に広がり、これまで以上にカーシェアリングが人々の暮らしに浸透していくことになると思われる。
4.カレコが2回の料金改定で料金引き下げ!価格競争激化で、利便性がさらに向上!
2014年は消費税が8%に引き上げられた年であったが、消費税増税を巡り「タイムズ カー プラス」は消費税分値上げ、「オリックスカーシェア」は料金据え置きなど、各サービス提供会社で対応が分かれた。
中でも、「カレコ・カーシェアリングサービス」は、消費税増税に合わせて料金体系を刷新し、値下げを断行。さらに、7月にも「6時間まで距離料金無料」など追加で料金を改定し、利用料金の実質引き下げを行った。
こうした「カレコ・カーシェアリング」の動きを受けて、大手カーシェア事業者は、利用料金や月額基本料金が値引きされるキャンペーンを実施するなど、様々な戦略を打ち出したことで、2014年はカーシェアリング業界の価格競争が激化した年となった。
これにより、消費者にとってカーシェアリングを利用しやすい環境が整ったことで、利用者の増加につながったものと思われる。
2015年は各社とも事業採算性の確保へと動くことも予想されることから、価格競争も一段落し、ミニバンなどの新たな車両クラスの設定(※「オリックスカーシェア」は、2015年1月より「デラックスクラス」を新設)や新車種の導入などのサービスで、会員の増強と利用者の利便性向上を図っていくことになると思われる。
5.経産省が「自動車産業戦略2014」を発表!カーシェアリング潜在需要の開拓へ!
2014年11月に、経済産業省は「自動車産業戦略2014」を発表した。「自動車産業戦略2014」は、「「日本再興戦略」改訂を踏まえ、自動車産業が中長期的に直面するであろう課題を整理分析した上で、次世代自動車の普及促進をはじめとする先進的な国内市場構築や自動車産業のグローバル展開の推進等からなる総合的な戦略」(経産省による「自動車産業戦略2014」とりまとめの「概要」より)のこと。
この「自動車産業戦略2014」の中で、経済産業省は国内市場活性化の具体的施策のひとつとして、カーシェアリングや超小型モビリティなどの潜在需要を開拓しうる新たな自動車の保有・利用形態の検討をすることを打ち出した。
こうした国を挙げての強力な後押しによってカーシェアリングの潜在需要が開拓されていけば、近い将来カーシェアリングは人々の暮らしに確実に定着することと思われる。
持続可能な社会と利便性の高い暮らしの実現という点から、今後ますますカーシェアリングに注目が集まることが予測される。
【免責事項】
※このデータは、「カーシェアリング比較360°」(株式会社ジェイティップス運営)が独自に収集したデータをもとに構成されています。
※各カーシェアリング提供会社の公式発表データではありませんのでご了承ください。
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