会員数は70万人を突破!?
ステーション数・車両数の伸長率は前年より鈍化するも、成長を持続!
2015年は、「車種充実」、「ワンウェイ式」、「新規参入」など話題豊富な一年
カーシェアの情報比較サイト「カーシェアリング比較360°」(http://www.carsharing360.com)が、カーシェアリング市場を独自に集計したデータ(主要8社)によると、2015年12月時点のステーション数は2014年12月時点に比べ15.5%増加、ステーション車両台数は22.0%増加していることがわかった。
2014年の対前年伸長率(ステーション数:21.4%増加、ステーション車両台数:28.5%)に比べて、2015年の伸び率は若干鈍化したものの、まだまだ順調に拡大が続いている。また昨年と同様、ステーション数に比べると車両台数の伸長率が大きく、ステーション単位での利用者数や利用頻度は引き続き増加しているものと思われる。
2015年は前年の消費税増税による消費者の節約気運やシェア・エコノミーへの意識変化の風潮などもあり、カーシェアリングの認知度が一気に上がった年といえる。カーシェアの利用者数は前年より約10万人増加の70万人に到達したものとみられるが、詳細な実数については、公益財団法人 交通エコロジー・モビリティ財団発表を待ちたい。
主要8社のステーション数は10,000箇所を突破し、2014年12月末から約1,400箇所増加した。また車両台数は前年同様2015年も3,000台以上増加しており、2016年には20,000台を超える可能性が必至。
各サービス提供会社の状況としては、カーシェアリングサービスの開始から13年目に入った業界パイオニアの「オリックスカーシェア」が、横浜で期間限定のサービス提供を行っていた乗り捨て(ワンウェイ)方式のカーシェアリング「smaco(スマコ)」のサービス提供を終了。2014年に車両台数10,000台の大台に乗せ、2015年には13,000台にまで増やした首位「タイムズ カー プラス」は、今期も好調を維持し、2020年までに30,000台に増やす考えを明らかにするなど、カーシェアリング業界は話題に事欠かない1年であった。
また、2014年に消費税増税のタイミングに合わせて生じた価格競争も一段落し、タイムズ カー プラスは「コンビニ&カーシェア」の展開を見据えたサークルKサンクスやファミマとの業務提携、オリックスカーシェアはプライムステージプログラムやデラックスクラスの導入、カレコ・カーシェアリングクラブはスバル特設ステーションのオープンやライフサポートクラブの提供など、大手3社ともサービス内容の充実化に注力した。利用ハードルの低下に加え使い勝手の良さや用途の拡大がなされたことにより、消費者にとってはますますカーシェアリングを利用しやすい環境が整ったといえる。
2015年はインフラ展開の仕方やサービス提供において大手3社の戦略が分れた年でもあった。
上記と重複する内容もあるが、ここで2015年を総括してみよう。
【2015年主要トピックス】
1.大手3社の戦略は分かれるも、市場はまだ成長期がつづく
ステーション数は15.5%、車両台数は22.0%伸長
2015年は、ステーション数と車両台数の増加で、前年ほどの伸長率は見られなかったものの、ステーション数が前年比15.5%増加、車両台数が22.0%増加とまだまだ順調に拡大は続いており、前年同様に市場は成長を持続していることが伺えた。
急激なインフラ拡大期を終え、カーシェアリング市場自体が安定成長期に入った2013年以降は、各サービス提供会社とも利用ニーズの高いエリアにおけるドミナント方式による新規ステーション開設や、一ステーションあたりの車両増設へとシフトしていったが、2015年はタイムズ カー プラスがインフラ拡張を継続(ステーション数伸び率23.4%、車両台数伸び率29.4%)、カレコは利用者の少ない郊外ステーションを閉鎖し、利用者数の多い都内にステーションを集約するためにステーション数・車両台数共に一時減(ステーション数伸び率-12.4%、車両台数伸び率-3.7%)、オリックスはステーション数3.2%、車両台数伸び率5.1%と緩やかに増加と、三者三様の様相を呈した。
タイムズ カー プラスだけでなくステーション改変を終えたカレコも都内でステーション数、車両台数ともに増加することを打ち出していることから、2016年も2015年同様にステーション数、車両台数ともに増加がつづくものとみられる。
2.市場規模はついに70万人超え!?
タイムズ カー プラスの会員数が単独50万人を突破
ステーション数・車両台数共に業界トップを走る「タイムズ カー プラス」は、2015年7月に会員数が50万人を超えたことを発表し、2015年12月時点で57万人を突破した。また、「オリックスカーシェア」は、2015年3月末時点で12万9千人を超え、2015年中に13万人を超えたものと思われる。業界第3位の「カレコ・カーシェアリングクラブ」もスバル車をはじめとした多様な車種の導入と「スマートで楽しいライフスタイル提案」という独自路線により、2015年3月時点で約3万5千人と会員数を急激に増やしており、業界全体では会員数が70万人を突破したものと思われる。(交通エコロジー・モビリティ財団による2015年5月8日の発表によると、2015年3月時点でのカーシェアリング会員数は業界全体で681,147人とのこと。)
これにより日本の人口に占める会員数の割合は2014年1月の0.37%から0.55%まで上昇し、カーシェリング先進国のスイス(1.31%、2012年時点)に次ぐ世界第2位となることが確実(※注)。
会員数の増加では、2015年も単年で10万人以上増やした「タイムズ カー プラス」の独走状態となったが、短時間利用で業界最安値料金の「カレコ・カーシェアリングクラブ」も健闘しており、「オリックスカーシェア」と「カレコ・カーシェアリングクラブ」が首位「タイムズ カー プラス」を追いかけるという上位三強の図式に変わりはない。
こうした3強体制は2016年も継続すると思われ、三事業者を中心に会員数も増加傾向で推移していくものと予測される。
※参考:交通エコロジー・モビリティ財団「わが国のカーシェアリング車両台数と会員数の推移」
3.ワンウェイ式カーシェアリングのその後の行方は?
オリックスカーシェアのワンウェイ式カーシェアリング「smaco」が9月末でサービス提供を終了
前年2014年は「オリックスカーシェア」がメルセデス・ベンツ日本、アマノと提携し、横浜市内で「スマート電気自動車」を用いた乗り捨て(ワンウェイ)方式のカーシェアリング「smaco(スマコ)」のサービスを開始したことにより、カーシェアリング業界において「ワンウェイ元年」とでもいうべき新たな転機となる年であった。「smaco」は当初、2015年3月までの期間限定運用を予定していたが、好評につき半年間延長し、予定通り2015年9月末日をもってサービス提供を終了した。
- 参考記事
- ・ワンウェイ(乗り捨て)方式のカーシェアリング「smaco」がサービス提供期間延長!パック料金導入でさらに便利に♪
- ・ワンウェイ(乗り捨て)方式のカーシェアリング「smaco(スマコ)」が、本当に革新的である5つの理由
当初から期限付きの提供が前提であったものの「smaco」は国内初のワンウェイ式カーシェアリングの事業化でマイクロコンパクトカー「smart」に乗れるセンセーショナルなものだっただけに、サービス終了は残念な話題である。コスト面や車両の片寄など運用に多くの課題があることは想像できるが、「オリックスカーシェア」は相当なデータやノウハウが蓄積されたのではないだろうか。
業界のパイオニアである同社には、「smaco」のノウハウを活用したワンウェイ方式カーシェアリングのサービス再開をいつか期待したい。
国内のワンウェイ式カーシェアリング話題でいえば、2013年10月から横浜市と日産自動車が実証実験として開始した超小型電動自動車(EV)を使った「チョイモビ」がオリックスと同じく2015年9月末でサービスを終了。
2015年8月に神戸市で超小型モビリティ等に乗れるワンウェイ型カーシェアリングの実証実験「sea:mo(シーモ)」がスタート(2016年3月末終了予定)。
「タイムズ カー プラス」が実証実験ではあるものの東京初となるワンウェイ式カーシェアリング「Times Car PLUS TOYOTA i-ROAD Drive」を2015年4月10日より開始。また、「タイムズ カー プラス」はトヨタ車体製「COMS」を使用した「Times Car PLUS × Ha:mo(タイムズ カー プラスハーモ)」として、2015年10月20日から2016年3月末までの間、東京都心部でワンウェイ式カーシェアリングサービスを実施している。
今後、2020年の東京オリンピック開催に向けて、国内ではワンウェイ式カーシェアリングのニーズが高まっていくと予測される。
- 参考記事
- ・いよいよはじまる!タイムズ カー プラスの東京初!ワンウェイ(乗り捨て)型カーシェアリング♪
- ・神戸でも超小型モビリティに乗れる!ワンウェイ型EVカーシェア「sea:mo(シーモ)」がサービスを開始♪
4.カーシェアでクルマを快適に楽しむ時代に!
カレコをはじめ各社新車種を続々投入!
消費税が8%に引き上げられた2014年は、増税分の料金値上げを巡り大手三社で対応が分れた年であった。カーシェアリング市場はこの三社による価格競争といった様相を呈したが、2015年はそれも一段落し、各社独自のサービス展開に注力した年であったと言える。なかでも、これまで多様な車種展開で他社との差別化を図ってきた「カレコ・カーシェアリングクラブ」は、「BRZ」、「WRX S4」、「レガシィ B4」といったスバルの新車種を定期的に投入していく「スバル特設ステーション」を渋谷のセルリアンタワーに設置するなど、これまで以上に新車種の導入に積極的であった。また業界初の「チャイルドシート」の導入など利用者のかゆいところに手が届くサービス向上にも余念がない。
こうした多様な車種導入や設備強化の背景には、カーシェアリングで「楽しくてスマートなライフスタイル」を実現するという「カレコ・カーシェアリングクラブ」の理念がある。これまでカーシェアリングといえばコンパクトカーが定番であったが、こうした「カレコ・カーシェアリングクラブ」の動きや、セレナやノアなどのミニバンを導入した「タイムズ カー プラス」やミニバンに乗れるデラックスクラスを新設した「オリックスカーシェア」の大手三社の動向を見ると、カーシェアはもはや単なる移動手段の一つではなく、クルマや日常生活を楽しむモードへ移行しているといえる。
- 参考記事
- ・カレコでスバルを体験!スバルの人気車種「BRZ」、「WRX S4」、「レガシィ B4」に乗れる
- ・カレコ・カーシェアリングクラブでトヨタの新型ミニバン「Esquire(エスクァイア)」に乗れる
- ・子供がいても安心!チャイルドシート無料レンタルのカレコなら子供と一緒にお出掛けできる!
- ・オリックスカーシェアが大型ミニバンに乗れる「デラックスクラス」を新設!大人数でもカーシェアリングが利用できる
- ・名鉄協商カリテコが新車種MINI ONEを導入
5.カーシェアにもシェアリング・エコノミーの風が吹いてきた!
C to C(個人間)カーシェアリングサービス「Anyca」がサービス提供を開始
ディー・エヌ・エー(DeNA)は、2015年9月から個人間カーシェアサービス「Anyca(エニカ)」のサービスを開始した。これにより事業者が用意したクルマを会員が利用するという従来のカーシェアリングに加えて、個人間でクルマの貸し借り(シェア)を行うC to Cのカーシェアリングが日本でも本格化しそうだ。
実はこれまでも「CaFoRe(カフォレ)」など、個人間のカーシェアリングサービスはいくつか存在していたが、貸し借りの手続きの煩雑さや法的な規制などから日本ではほとんど浸透することがなかった。「Anyca(エニカ)」では、「共同使用契約」の採用による適法化をし、クルマを貸したいオーナーとクルマを借りたいドライバーとのやり取りがスマホアプリで簡単にできるようにした。
また「Anyca(エニカ)」では、従来のB to Cのカーシェアリングでは採算性の面から導入されることのなかった高級外国車や高級スポーツカーや旧車を、気分やシチュエーションに合わせて利用することができる。
Uber、Airbnbなど国内でシェアリング・エコノミーへの関心が高まるなか、ディー・エヌ・エー(DeNA)のIT力やプロモーションにより大きく広がる可能性を秘めている。
B to C型のカーシェアリングサービスにおいて、利用需要が低いエリアにステーションが開設されることはほとんどなかった。だがC to C型では登録するオーナーさえいれば、利用者はカーシェアを利用することができるので、これまでカーシェア事業者がカバーしきれていなかったエリアでクルマを利用できるようになる可能性に大いに期待できる。
B to C型とC to C型の両方を上手に使い分ける利用者でも既にいるのではないだろうか。
【免責事項】
※このデータは、「カーシェアリング比較360°」(株式会社ジェイティップス運営)が独自に収集したデータをもとに構成されています。
※各カーシェアリング提供会社の公式発表データではありませんのでご了承ください。
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