
急激成長期を終えて安定成長期へ入った2012年、2013年に続き、2014年もステーション数、車両台数ともにまだまだ堅実に伸長することが予想される。また、導入車種や料金体系等、各社サービスの多様化により、カーシェアリング利用者も安定的に増加していくことが予測される。
以下では、2013年の市場動向と主要トピックスをもとに、2014年カーシェアリング市場動向を予測してみる。
2014年カーシェアリング市場動向予測
1.会員数が70万人を突破する!? 真の意味でのカーシェアリング定着期へ!
2013年に業界全体で、カーシェアリングの会員数は50万人に到達確実だが、2014年には少なくとも60万人を超え、70万人にも迫ることが予想される。
昨今は「シェア」という考え方の普及からシェアハウスなどが注目を集めているが、こうした日本人の消費スタイルの変化にカーシェアリングはマッチしているため、決して節約という観点だけでなく、賢いライフスタイルを選択したいと望む都市部の居住者層を中心にカーシェアリングはさらに一般化し、消費者の生活の一部として定着することになるはずである。
車両台数1,000台、会員数15,000人を超えた2010年は日本における「カーシェアリング元年」と呼ばれ飛躍的な市場の成長を経験し、サービス提供に必要なインフラが整った2012年は「カーシェアリング認知拡大期」ともいえ、2013年はついに車両台数が10,000台に到達。こうした背景を踏まえ、会員数が50万に達し、一般の人々の生活にカーシェアリングがさらに浸透すると予想される2014年は、まさしく「カーシェアリング定着期」と呼ぶにふさわしい年になると思われる。
2.新たな利用者層の開拓へ向けて、利用者ニーズにマッチしたサービスの多様化は今年も続く!
2013年は各社とも新たな利用者獲得を目指してサービス強化に注力した年であったが、こうした傾向は2014年も続くことが予測される。
昨年の市場動向予測でも取り上げた通り、各サービス提供会社にとって2014年も引き続き課題となるのが、平日の未稼働車両の運用である。カーシェアリングのメインユーザーは30代~40代の世代で、主に土日祝日に利用することが多いため、週末には車両が高回転で稼働するものの、平日はそれほど稼働しないというステーションも少なくなかった。こうした現状を打破すべく、「カレコ」は主婦層をターゲットに「平日プラン」や「3時間パック」を新設。また各社とも法人をターゲットに、カーリースの社用車に代わる安価な代替手段としてカーシェアリングの提案を積極的に行った。
「オリックスカーシェア」、「タイムズ カー プラス」も平日利用頻度が高い法人契約の獲得に余念がないようだ。2014年はこうした動きにプラスして、各社とも料金プランの改定以外に様々な世代の利用者ニーズにマッチしたサービスラインナップの多様化と充実化を図っていくことが予測される。昨年顕著に見られたハイエンド車種を含む多様な車種の導入などもその一例であろう。特に車種ニーズは世代や個々のライフスタイルによって異なるため、多くの潜在的な利用者層に訴求し、会員獲得につなげていくためにも、各社はこれまで以上にスポーツカーやSUV、外国車やハイブリッドカー、エリアによってはワンボックスカーや軽自動車など車種ラインナップの充実化に力を入れていくものと思われる。
また、「オリックスカーシェア」は、今年に入り「2月中に3万円以上利用した会員に対して翌月夜間パックを何度使っても無料」という利用者に嬉しい利益還元型サービスの提供を開始している。このようなユーザー便益の高いサービスは、利用者心理に訴えかけるところが大きいだけに、今後も様々な形で提供されていくことになると思われる。
こうしたサービスの多様化により、これまで重視されてきた「家や会社からのステーションの近さ」と「利用料金の安さ」といった入会の選択肢に加えて、今後は導入車種や会員への利益還元も含めたサービスの充実度も重要な選択肢の一つとなり、入会希望者は自身のライフスタイルやニーズに合ったサービス提供会社を選択する時代になっていくことと予想される。
3.導入車種の多様化により、“乗る”から“楽しむ”へ!カーシェアリングは新たなステージに移行!
上述のように導入車種の多様化により、利用者にとってカーシェアリングの価値が変化を遂げる年になると予測される。それは単なる“乗り物”から、生活を“楽しむ”ことへのシフトである。
これまでカーシェアリングは移動の代替手段として遡及されてきたが、昨年見られた自動車メーカーとのタイアップによる「カレコ」の「体験試乗会」、「タイムズ カー プラス」の「無料体感キャンペーン」、「オリックスカーシェア」のマイクロコンパクトカー「スマート導入」は、クルマへの興味や関心を惹くことに主眼を置いたものであった。
これは、これまでクルマと接触点を持たなかった潜在的な購買層に対して購入意欲を刺激するといった自動車メーカーの意図もあったが、利用者に対して、クルマが乗るためのものだけではなく、楽しいものだということを実感させるひとつのきっかけになった。これまでコンパクトカーにしか乗ったことがなかった利用者が、SUVやスポーツカーに乗った場合にも、同様にいえることである。
このようなクルマに対する意識の変化は、2014年以降、利用者の新たな行動を誘発することに繋がるかもしれない。「あの車に乗れるなら、こっちの会員にもなっておこう」という複数のサービスへ入会し、ICカードを2枚以上持つ利用者ももっと出てくるはず。
各社サービスのさらなる充実と消費者へのPRの強化に期待するところが大きいが、カーシェアリングが人々の生活にしっかりと定着し、賢くかつ充実したライフスタイルの実現に寄与することは間違いないだろう。
このように2014年は、これまでのカーシェアリングが新たなステージへと移行を遂げる年になる。
【免責事項】
※このデータは、「カーシェアリング比較360°」(株式会社ジェイティップス運営)が独自に収集したデータをもとに構成されています。
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