
急激なインフラ拡大期を終え、カーシェアリング市場は2013年以降安定成長期に入ったが、2015年も利用ニーズの高いエリアを中心にステーション数、車両台数ともまだまだ増加していくことが予想される。
また、2014年に「タイムズ カー プラス」が事業開始から5年目で初の営業黒字を達成したことから、カーシェアリング市場は新たな段階に突入したが、今後、各サービス提供会社とも採算性の確保に向けてこれまで以上の会員獲得施策に踏み出すことで、カーシェアリングはますます人々の生活に浸透していくことと予測される。
以下では、2014年の市場動向と主要トピックスをもとに、2015年のカーシェリング市場動向を予測してみる。
【2015年カーシェアリング市場動向予測】
1.カーシェアリング定着期を過ぎて、カーシェアリングは新たなステージへ!
2014年に業界全体で、カーシェアリングの会員数は60万人に到達しているものと思われるが、2015年はさらに10万人以上の増加が見込まれ、70万人を突破することが予想される。
市場が安定成長期に入り、カーシェアリングは人々の間にかなり定着してきたといえるが、それでも日本人の人口に占める会員数の割合は0.47%。200人に1人がカーシェア会員という計算になる。利用者自体は、非会員の同乗利用者も含めると、さらに多くなると推測されるが、いずれにしても「カーシェアリング」という言葉の浸透に比べて、利用自体はまだまだ本格的に浸透しているとはいえないだろう。
また、車両台数も堅調に増加してきてはいるものの、大手8社の車両台数は2014年12月時点で14,143台。レンタカーの車両台数273,466台(※)に比べると、約20倍の開きがあり、まだまだ少ないといえる。
しかし、逆に言えば、まだまだ伸び代があるということ。2014年の主要トピックスでも触れたとおり、経産省発表の「自動車産業戦略2014」においてカーシェアリングの潜在需要の開拓が打ち出されたが、こうした施策によって、利用者は今後さらに増加していくことが予想される。
認知度が飛躍的に向上した定着期を過ぎて、カーシェアリングは「本格的な浸透=利用者の拡大」へと向けた新たなステージに突入したといえるだろう。レンタカーのように、選択肢として当たり前の存在になる日もそう遠くはないものと思われる。
※レンタカーの「車両台数」は、国土交通省が調査・集計した平成25年3月31日時点での乗用車の台数です
2.ヘビーユーザーをターゲットに、各社とも会員獲得施策を強化!「カード2枚持ち」が浸透!?
「1」で指摘したとおり、利用自体はまだまだ浸透していないといえる一方で、既会員の利用者においては、近年利用頻度の高いヘビーユーザーも増加してきている。
こうしたヘビーユーザーの多くは、「シェア」というライフスタイルを選択していることからもわかるように効率性を重視する傾向が高いことから、今後、未入会のサービス提供会社で自身に便益の高いサービス提供が開始されたならば、サービス提供会社を乗り換えるという利用者も増えていくことが予測される。
しかし、乗り換え以上に、ヘビーユーザーの間で浸透していくと思われるのが「カード2枚持ち」だ。乗り換えは行わず、別のサービス提供会社にも入会し、利用シーンや利用目的に合わせてサービスを使い分けるといった「カード2枚持ち」のハードルは、現在かなり下がっているため、ヘビーユーザーへの浸透は時間の問題といえる。例えば、長時間利用料金最安値の「個人Aプラン」と月額基本料無料の「個人Bプラン」を導入している「オリックスカーシェア」では、プランの切り替えがネット上で簡単に行えるため、普段、別会社のカーシェアを利用している月は月額基本料が発生しない「個人Bプラン」にしておいて、長距離利用する月だけ「個人Aプラン」に切り替えるということが可能だ。
2015年は事業採算性を確保するために、各サービス会社ともこうしたヘビーユーザーの獲得に向けた様々な施策を積極的に行っていくものと予想される。
例えば、新たな車種の導入や新たな車両クラスの設定によるカーシェアリングの使い勝手の向上が考えられる。多様な車種の導入はすでに「カレコ・カーシェアリングクラブ」が注力しているところであるが、おそらく他社も積極的にこの方向にシフトしていくのではないか。また、「オリックスカーシェア」は2015年1月よりステップワゴンなどの大型ミニバンに乗れる車両クラス「デラックスクラス」を新設したが、これもファミリー層のヘビーユーザーを取り込む狙いがあるものと考えられる。
これまでカーシェアリングといえばコンパクトカーが主流あったが、こうした施策は一般に流布しているカーシェアリングの概念を改めることにもつながるため、ヘビーユーザーだけでなく、例えば大人数で使いたい大学生など、今までカーシェアリングに興味をもっていなかった人々への訴求にもなるだろう。
その他にも、「タイムズ カー プラス」が積極的に行っている相互送客を狙った他「サービスとの連携や入会キャンペーンなども会員獲得施策として引き続き行われていくことが予想される。
いずれにしても、各社によるこうした会員獲得施策により、利用者の利便性がこれまで以上に向上していくことは間違いないだろう。
3.アーバン・モビリティの未来を切り拓く、ワンウェイ式カーシェアリングの動向に期待!
2014年のトピックスの中で、最もインパクトが大きかったのは、やはり「ワンウェイ方式(乗り捨て)」のカーシェアリングが解禁されたことだろう。既に指摘したとおり、カーシェアリングの乗り捨てにはコスト面や車の片寄りなど、まだまだ課題が多いものの、これまでのラウンドトリップ方式のカーシェアリングと比べると、利用者にとっての利便性がかなり高いサービスであることは間違いないといえる。このサービスが日本中に拡大していけば、カーシェアリングユーザーは今よりも飛躍的に増加することであろう。
ワンウェイ方式のカーシェアリングが日本にもたらす未来は明るい。ワンウェイ方式のカーシェアリングには、電車などの公共交通機関とカーシェアリングを組み合わせて利用する「レール&カーシェア」(パーク&レールライド)推進の狙いがあるが、これが実現されれば、これまで相互に断絶していたクルマと電車という都市部の交通事情が有機的に融合することになり、都市部の慢性的な渋滞も改善されることになるからだ。もちろん、CO2排出量の削減にもつながり、環境保全に貢献することとなる。
以上は2015年予測ではなく、日本のアーバン・モビリティの未来に対する期待でしかないが、いずれにしても2015年はカーシェアリングの今後を占ううえで見過ごすことができない1年となるだろう。
カーシェアリング比較360°としては、アーバン・モビリティ改革へ向けて、ワンウェイ式のカーシェアリングが拡大していくことに期待したい。
このように2014年は、これまでのカーシェアリングが新たなステージへと移行を遂げる年になる。
【免責事項】
※このデータは、「カーシェアリング比較360°」(株式会社ジェイティップス運営)が独自に収集したデータをもとに構成されています。
※各カーシェアリング提供会社の公式発表データではありませんのでご了承ください。
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